心疾患による障害認定基準
心疾患による障害は、弁疾患、心筋疾患、虚血性心疾患、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患に区分されています。疾患ごとに基準があり、一般状態区分、異常検査所見、臨床所見などの要素を総合して等級が決まります。
一般状態区分
活動能力により障害の程度を示したものです。カッコ内は等級の目安になります。
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
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イ (3級相当) | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの(例えば、軽い家事、事務など) |
ウ (2~3級相当) | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ (2級相当) | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ (1級相当) | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
異常検査所見
異常検査所見の例示です。各認定基準に直接かかわるものです。
区分 | 異 常 検 査 所 見 |
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A | 安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの |
B | 負荷心電図(6Mets 未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの |
C | 胸部X線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの |
D | 心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの |
E | 心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの |
F | 左室駆出率(EF)40%以下のもの |
G | BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/ml 相当を超えるもの |
H | 重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に50%以上の狭窄、あるいは、3 本の主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めるもの |
I | 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの |
臨床所見
臨床所見の例示です。各認定基準に直接かかわるものです。
自覚所見 | 動悸,呼吸困難,息切れ,胸痛,咳,痰,失神 |
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他覚所見 | チアノーゼ,浮腫,頸静脈怒張,ばち状指,尿量減少,器質的雑音 |
弁疾患の認定基準
1級 | ・病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA 心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
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2級 | ・人工弁を装着術後、6ヶ月以上経過しているが、なお病状をあらわす臨床所見が5つ以上、かつ、異常検査所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの ・異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち2 つ以上の所見、かつ、病状をあらわす臨床所見が5 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
3級 | ・人工弁を装着したもの ・異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち1 つ以上の所見、かつ、病状をあらわす臨床所見が2 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
補足
※複数の人工弁置換術を受けていても、原則3級相当になります。人工弁形成術については対象外です。
心筋疾患の障害認定基準
1級 | ・病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA 心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
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2級 | ・異常検査所見のFに加えて、病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの 2. 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち 2 つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が 5 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
3級 | ・EF値が50%以下を示し、病状をあらわす臨床所見が2つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの ・異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち1 つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が1 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
虚血性心疾患の障害認定基準
1級 | ・病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全あるいは狭心症状を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
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2級 | ・異常検査所見が 2 つ以上、かつ、軽労作で心不全あるいは狭心症などの症状をあらわし、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
3級 | ・異常検査所見が 1 つ以上、かつ、心不全あるいは狭心症などの症状が 1 つ以上あるもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
難治性不整脈の障害認定基準
1級 | ・病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全の症状(NYHA 心機能 分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
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2級 | ・異常検査所見のEがあり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの ・異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち2つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が 5 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当 するもの |
3級 | ・ペースメーカー、ICDを装着したもの ・異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち 1 つ以上の所見及び病状を あらわす臨床所見が 1 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当 するもの |
大動脈疾患の障害認定基準
3級 | ・胸部大動脈解離(Stanford 分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により、人工血管(ステントグラフトを含む)を挿入し、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの ・胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤に、難治性の高血圧を合併したもの |
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補足
※胸部大動脈瘤は、胸腹部大動脈瘤も含まれます。なお腹部大動脈瘤については対象外です。
先天性心疾患の障害認定基準
1級 | ・病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全の症状(NYHA 心機能 分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
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2級 | ・異常検査所見が 2 つ以上及び病状をあらわす臨床所見が 5 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの ・Eisenmenger 化(手術不可能な逆流状況が発生)を起こしているもので、 かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
3級 | ・異常検査所見のC、D、Eのうち 1 つ以上の所見及び病状をあらわす臨床 所見が 1 つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの ・肺体血流比 1.5 以上の左右短絡、平均肺動脈収縮期圧 50mmHg 以上のもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの |
重症心不全の障害認定基準
1級 | ・心臓移植 ・人工心臓 |
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2級 | ・CRT(心臓再同期医療機器) ・CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器) |
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