血液・造血器の障害認定基準
血液・造血器の障害は、赤血球系・造血不全疾患と、血栓・止血疾患と、白血球系・造血器腫瘍疾患に大別されます。認定にあたっては一般状態区分表を参考にしつつ、三つの分類に応じてそれぞれ別の臨床所見・検査所見が用いられます。
1級 | A表Ⅰ欄、B表Ⅰ欄にいずれも1つ以上の所見があり、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの |
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2級 | A表Ⅱ欄、B表Ⅱ欄にいずれも1つ以上の所見があり、かつ、一般状態区分表のエまたはウに該当するもの |
3級 | A表Ⅲ欄、B表Ⅲ欄にいずれも1つ以上の所見があり、かつ、一般状態区分表のウまたはイに該当するもの・人工弁を装着したもの |
一般状態区分
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
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イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの(例えば、軽い家事、事務など) |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
赤血球系・造血不全疾患
A表 臨床所見
Ⅰ | ・高度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの |
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Ⅱ | ・中度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの |
Ⅲ | ・軽度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの |
B表 検査結果
Ⅰ | 1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの |
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Ⅱ | 1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの |
Ⅲ | 1 末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの |
血栓・止血疾患
A表 臨床所見
Ⅰ | ・高度の出血傾向、血栓傾向または関節症状のあるもの |
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Ⅱ | ・中度の出血傾向、血栓傾向または関節症状をあるもの |
Ⅲ | ・軽度の出血傾向、血栓傾向または関節症状のあるもの |
※補充療法は、凝固因子製剤の輸注、血小板の輸血、新鮮凍結血漿の投与などが対象です。
B表 検査結果
Ⅰ | ・APTTまたはPTが基準値の3倍以上のもの |
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Ⅱ | ・APTTまたはPTが基準値の2倍以上3倍未満のもの |
Ⅲ | ・APTTまたはPTが基準値の1.5倍以上2倍未満のもの |
白血病系・造血器腫瘍疾患
A表 臨床所見
Ⅰ | ・発熱、骨、関節痛、るい瘦、貧血、出血傾向、リンパ節膨張、易感染性、肺脾腫等の著しいもの |
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Ⅱ | ・発熱、骨、関節痛、るい瘦、貧血、出血傾向、リンパ節膨張、易感染性、肺脾腫等のあるもの |
Ⅲ | ・継続的ではないが治療が必要なもの |
※治療とは疾病に対する治療を言い、輸血などの対症療法は含みません。もし副作用による障害がある場合は、その程度に応じて上位区分に引き上げられます。
B表 検査結果
Ⅰ | ・末梢血液中のヘモグロビン濃度が7.0g/dl未満のもの |
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Ⅱ | ・末梢血液中のヘモグロビン濃度が7.0~9.0g/dlのもの |
Ⅲ | ・末梢血液中のヘモグロビン濃度が9~10g/dlのもの |
補足
※検査成績は性質上変動しやすいため、認定にあたってはもっとも適切に病状をあらわしている検査成績が使用されます。例えば輸血や補充療法で一時的に数値が改善したような場合も、治療前の成績に基づいて認定を行います。
造血幹細胞移植の障害認定基準
造血幹細胞移植については、術後の症状や治療経過、予後などを考慮して総合的に認定されます。特に移植片対宿主病(GVHD)については認定にあたりガイドラインが準備されています。
慢性GVHD の重症度の測定をする上で、まずは各臓器別にスコアリングを行います
部位 | スコア0 | スコア1 | スコア2 | スコア3 |
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皮膚 | 無症状 | < 18% BSA 硬化病変なし | 19~50% BSA | >50% BSA |
口腔 | 無症状 | 軽症 経口摂取影響なし | 中等症 経口摂取軽度障害 | 高度障害 経口摂取高度障害 |
眼 | 無症状dB | 軽度dry eye | 中等度dry eye | 高度dry eye |
消化管 | 無症状 | 嚥下困難、食欲低下、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢 | 5~15%の体重減少を伴う消化器症状 | 15%以上の体重減少を伴う消化器症状あるいは食道拡張 |
肝 | 無症状 | Bil,ALP,AST,ALTの正常上限の2倍以内の上昇 | Bil>3mg/dL あるいは Bil他の酵素の正常上限の2~5倍の上昇 | Bil、他の酵素の正常上限の5倍以上の上昇 |
肺 | 無症状 FEV1>80% または LFS=2 | 階段昇降時息切れ FEV1 60%~80% または LFS 3~5 | 歩行時息切れ FEV1 40%~59% または LFS 6~9 | 安静時息切れ FEV1<39% または LFS 10~12 |
関節・筋膜 | 無症状 | 日常生活に影響しない軽度の拘縮・可動制限 | 日常生活に支障のある拘縮・可動制限・筋膜炎による紅斑 | 日常生活に高度支障をきたす拘縮,可動制限 (靴紐結び,ボタンがけ,着衣など不能) |
性器 | 無症状 | 内診で軽度異常あるが軽度不快程度で性交痛なし | 内診で中等度異常あり,不快あり | 内診で高度異常あり,内診不応,性交痛あり |
スコアと重症度分類の対応表
軽症 | ・1か所あるいは2か所の臓器障害で、各スコアは1以下かつ肺病変を認めない |
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中等症 | 以下のいずれかを満たすもの |
重症 | 以下のいずれかを満たすもの |
※GVHD以外の原因による臓器障害については換算の対象になりませんが、GVHDを含む複数の原因による臓器障害については、そのまま換算します。
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