生活保護を受けている方から障害年金の相談をされることが多くあります。
生活保護費が足りなくて、障害年金で少しでも収入を増やしたいという方が多いです。
また自治体によっては、障害年金受給が可能かを医師に照会したりすることがあります。その結果、保護課の担当者から「障害年金を受けてください」と言われることがあります。
この記事では、生活保護と障害年金の関係について解説します。
1.障害年金を請求するメリット
一番多いのは、やはり「障害年金を受給することで収入を増やしたい」という相談です。
ですが、残念ながら障害年金と生活保護は重複して受給することができません。調整がかかってしまいます。
具体的には、障害年金が優先的に支給されますが、生活保護費から年金額が差し引かれてプラスマイナス0になってしまいます。
では、障害年金を請求する意味はないのかというと、そういうわけではありません。
具体的には以下の2つのメリットがあります。
1-1.障害者加算
障害年金1級または2級相当の障害であれば、障害者加算をつけることができます。
(等級によりますが、手帳による申請も可能です)
額は障害の程度や自治体によっても変わりますが、おおむね月15,000円~26,000円程度となっています。
1-2.生活保護を抜けた後の生活
生活保護には生活上の制限があるため、「いずれ生活保護を抜けたい」と考える人は多いです。
また、生活保護費が打ち切られたときの不安を抱えている人も少なくありません。
生活保護中は、障害年金はあってもなくても変わらないかもしれません。しかし生活保護が終わった時に「障害年金があるかないか」は大きな違いになります。
障害年金を受給することで、「生活保護を抜けても障害年金がある」という安心につながる場合もあれば、
「障害年金があれば、社会復帰出来るかもしれない」という前向きな考えにつながることもあります。
2.障害年金を請求するデメリットと対策
生活保護受給中の場合、デメリットとなるのはやはりコスト面です。
病院に依頼する診断書代、受診状況等証明書代に加え、社労士に頼む場合の報酬などが発生します。
通常の場合はそれらのコストに対し、障害年金が振り込まれるという金銭的なメリットがあります。
しかし生活保護を受給している場合、障害年金が振り込まれても保護費が調整されるため、費用部分だけがマイナスになってしまいます。
ぎりぎりの生活を送っている方からすれば、障害年金の請求は出来ない、という結論になってしまいがちです。
しかし、実は「生活保護法による保護の実施要領」によれば、年金などの収入を得るために必要な費用については経費として認めてもらえることになっています。
必要経費として認められれば、生活保護費の調整額が減額される=コストが軽減されるということになります。
2-1.診断書代等
何が必要経費で何が違うかは行政の判断になりますが、診断書代などの書類代は認められる可能性が高いです。(絶対ではありません)
ただし扱いはやはり自治体によって異なります。
病院に書類代を直接払ってくれる場合もあれば、後で必要経費として精算する場合もあり、受給権が認められた場合のみ払ってもらえるという場合もあります。
少なくとも、書類を病院に依頼する前に担当者に相談してみることをお勧めします。
2-2.社労士報酬
社労士に代行を頼んだ場合は、社労士報酬が発生します。
社労士報酬が必要経費に該当するかは本当にケースバイケースです。
割と柔軟に認めてくれるところもあれば、自治体によっては「絶対に認めない」というところもあります。
自治体によっては「どうしても必要な事情がある場合(例えば、本人が手続きできない状態)は認める」と言う扱いになっています。
大きな出費になる可能性があるため、社労士に依頼する前に、経費として認められるかを必ず担当者に相談してください。
3.まとめ
相談者の中には、障害年金と生活保護を2本立てでもらえないとわかった瞬間に諦めてしまう人も多いです。
ですが、生活保護を受けていても障害年金を請求するメリットはあります。
特にいずれ生活保護を抜けるつもりであれば、障害年金の受給は強い味方になると思います。
少しでもこの記事を役立てていただければ幸いです。