障害年金を請求したいけど、自分は本当にもらえるのか、もらうための条件を知りたいというご質問を多くいただきます。
自分は障害年金の対象になるのかと考えた時に多くの疑問が湧いてきます。
周りの人からもらえないとか、請求は難しいと言われて不安になることも多いと思います。
障害年金は仕事や日常生活に支障がある人が生活費用の補填として支給されますが、いくつかの条件や決まりがあり、
誰でももらえるわけではありません。
また、障害年金の受給ができていても就労したくなったらどうすればいいかなどいろんな不安や疑問が出てきます。
この記事では皆さんの疑問や不安にQ&Aに答えします。
1. 初診日について
障害年金の請求をする際には、初診日を必ず確定する必要があります。
ご自身で請求をしようとして、この初診日確定の段階でつまずいてしまう人は少なくありません。
1-1. 障害年金を請求しようとしたら「初診日」がいつかを聞かれました。よく分からないので、教えてください。
A
障害年金の初診日とは一言で言えば、「請求する傷病に関して、初めて病院に行って診察を受けた日」を指します。
同じ病気で病院を何軒も変えている場合は、最初の病院を初めて受診した日になります。
少々ややこしい例としては、ある精神疾患の方が、頭痛などで内科を受診したとします。
内科で診察をしてもらった結果「これは精神的なものだから、心療内科に行った方がいいよ」と言われました。
その後、症状が悪化し、障害年金を請求しようと考えています。
この方の場合、初診日は内科で診察を受けた日になります。
つまり、請求する傷病のきっかけとなった症状に関して、最初に診察を受けた日が初診日となるのです。
逆に、単なる頭痛や不眠でかかっていただけなら、うつ病の初診にならないとみなされることもあります。
初診になるかならないかは、頭痛や不眠という症状と、うつ病との間に相当因果関係があるかないかによって判断されます。
初診日は、障害年金の請求において、はたして障害年金を受ける資格があるか?
もらえるとしたら障害厚生年金か?障害基礎年金か?
いつから障害年金をもらう権利が発生するかが決まるすごく重要な日です。
詳しく知りたい場合はこちらの記事にまとめてありますので、ご覧ください。
1-2. うつ病と診断されています。初めて病院に行ったのは、20年近く前です。かなり古いので、障害年金は無理だとあきらめていましたが、可能性はありますか?
A
障害年金の請求においては、原則、初診日を書類で確定する必要があります。
ただ、病院のカルテの保存期間は5年と定められています。
あまり古い場合カルテが残っていないため、初診日の特定が難しい場合があります。
ですが、カルテが残ってなくても、受診した記録が会計データ等に残っていることがあります。
他の病院の診療録などから、受診したという事実を証明できることもあります。
いろいろ手を尽くして、請求にこぎつけたケースは多いです。
初診の病院のカルテがなかったり、廃院になっていた等、トラブルがあった場合は、無理とあきらめる前にまずは無料相談をご利用ください。
2. 保険料の納付要件について
障害年金を受給するためには、一定期間、年金保険料を納めている必要があります。
もし納付要件を満たしていない場合、障害年金はもらえません。
年金を請求する上で、納付要件をクリアしているかいないかは非常に重要なポイントになります。
2-1. 4年前から肝炎を患っていて、現在は肝臓がんに進行しています。生活が苦しく1年前から国民年金を払えていません。 国民年金が滞納状態であっても障害年金を請求することは可能でしょうか。
A
「年金を払っていない時期があるけど、障害年金は受給できるの?」という心配をされる方は少なくありません。
まず、障害年金を請求できるかどうかは、現在の保険料納付状況ではなく、初診日の前日時点の保険料納付状況によって決まります。
言い換えれば、初診日以降いくら未納があっても請求は可能です。
なお、全期間について納付する必要はありません。
初診日の前日の時点において、初診日の属する月の前々月までの公的年金制度に加入すべき全期間のうち、その3分の2以上の期間が保険料納付済か保険料免除済で満たされていれば請求可能です。
そうでない場合は、令和8年3月31日までの特例で、初診日の属する月の前々月からさかのぼった1年間が未納なしの状態であれば請求は可能です。
相談者様の場合、初診日前日時点で保険料納付要件を満たしていれば、現在滞納があったとしても年金請求は可能です。
なお、経済的な余裕がないという理由により保険料を払えないといったような場合、保険料免除請求の手続きをすると、支給要件における納付済み期間としてカウントされます。
また一部免除の場合は、減額された保険料を納付すると納付済み期間としてカウントされます。
何らかの事情で保険料の納付が困難になることもありますが、その場合であっても未納状態を続けずに、免除や納付特例を請求しておいた方が賢明です。
納付要件についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご参照ください。
2-2. 現在、精神疾患で障害基礎年金2級を受けていて、年金保険料は法定免除されています。しかし将来貰える年金が減ってしまうと聞きました。 年金額は減額されますか?
A
法定免除の期間中は、老齢基礎年金の受給資格期間には反映されますが、金額には国庫負担分(現在は1/2)しか反映されません。
ですから、老齢基礎年金の金額が低くなってしまう可能性があります。
ただ、法定免除はあくまで「年金を1円も払ってないのに、半分払ったことにしてもらえる」と言う制度です。
「法定免除を受けたから損」という話ではありません。
また、法定免除を受けた場合は、10年間までさかのぼって追納することが出来ますので、「いったん法定免除を受けておいて、後日働けるようになってから追納する」という選択肢もあります。
同様に、60歳以後も任意加入をすることで、最大で5年分の年金を積み立てることも出来ます。
なお、障害年金は65歳を過ぎても受給が可能です。老齢基礎年金の満額が障害基礎年金の額になります。
「もし65歳を過ぎても2級以上の障害年金を貰い続けることが明らか」と言う場合については、障害基礎年金を選択すればいいだけなので、気にする必要はないかもしれません。
3. 障害の状態について
就労や日常生活に支障が出ていれば、基本的に障害年金の対象になります。
障害の状態が障害年金認定基準に明確に書かれているものもあれば、あいまいになっているものもあり、ご自分では判断がつかないことが多いと思います。
3-1. パニック障害では障害年金はもらえないと聞きましたが、本当でしょうか?
A
パニック障害に限らず、適応障害や社交不安障害などの神経症は、原則として障害年金の対象となりません。
ただし、神経症はうつ病などの精神疾患と併発している場合も多いです。
その場合は精神疾患の病名を併記してもらうことで請求が可能になります。
また、神経症であっても臨床症状から判断して、精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または、そううつ病に準じて取り扱うものとされています。
その場合、傷病名はパニック障害などのまま、診断書に「精神病の病態を示している」旨を記載してもらうことで、請求が可能になります。
3-2. 障害の程度が軽い場合に一時金としてもらえる制度のことでを教えてください
A
障害手当金という厚生年金限定の制度です。以下の4つの要件に該当した場合にもらえます。
1.厚生年金保険の加入中に初診日があり、納付要件を満たしている
2.初診日から5年以内にその病気やケガが治る
3.病気やケガが治った時に一定の障害の状態にある
4.病気やケガが治ってから5年以内に請求する
なお、「一定の障害」とはおおむね以下の表に該当するものです。
別表第2(第3条の9関係)
相談者の場合、「一上肢のひとさし指を失ったもの」に該当するため、障害手当金の条件を満たしています。
なお傷病手当金を受給するには、診断書に傷病が治っており、症状が固定であることを明記してもらう必要があります。
3-3. 私は難病で何年も苦しんでいますが、障害年金は受けられるのでしょうか。
A
障害年金の対象とならない傷病としては、風邪などの短期的に治ってしまうもの、老化や廃用、神経症や人格障害等です。
それ以外の傷病は就労や日常生活に支障が出ていれば、基本的に障害年金の対象になります。
以下に、障害年金の対象となる傷病を紹介します。これはほんの一部の例示です。
これ以外にも多くの傷病やケガが対象になります。
眼 | ブドウ膜炎、緑内障(ベージェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症 |
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聴覚、平衡機能 | 感音声難聴、突発性難聴、神経症難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、毒物中毒による内耳障害 |
鼻腔 | 外傷性鼻科疾患 |
口腔(そしゃく言語)言語 | 上顎癌、上顎腫瘍、咽頭腫瘍、咽頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など |
肢体の障害 | 事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股関節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群 |
精神障害 | うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老による痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー病など |
呼吸器疾患 | 気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など |
循環器疾患 | 心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など |
腎疾患 | 慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など |
肝疾患 | 肝炎、肝硬変、肝がんなど |
糖尿病 | 糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症 |
血液 | 再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ種、多発性骨髄膜、骨髄異形性症候群、HIV感染症 |
その他 | 人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、周期性好中球減少症、乳癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等の癌全般、悪性新生物、脳髄液減少症、悪性高血圧、その他難病 |
3-4. 障害認定日に障害の状態・程度が軽かった場合、もう障害年金は受けられないのでしょうか?
A
障害年金の請求は、障害認定日の障害状態で請求することが基本です。
ですが、実際には認定日の時点で軽かったり、その時点で障害年金の制度を知らなかったなど、認定日時点で請求が出来ないと言う人が非常に多いです。
障害認定日に請求が出来ない場合でも、認定日以後に障害状態に該当した場合は、その時点で障害年金を請求することができます。
これを事後重症請求といいます。
認定日以後であればいつでも可能ですが、制度上、65歳に達する日の前日までが期限となっています。
請求の際は、現在の障害の状態・程度を表す診断書が1通必要となります。
事後重症の場合は、請求月の翌月から年金が支給されます。
4. 請求について
障害年金申請は、誰もが初めて行うものです。
そのため請求に慣れることがありません。
誤った情報に惑わされず、正確な基礎知識が必要になります。
4-1. 「働いていると障害年金はもらえない」と言われました。本当にそうなんですか?
A
「就労していると障害年金がもらえない」という規定はありません。
ただし、障害の種類と就労状況によっては、障害の認定に影響することがあります。
手足の障害など、外部障害の場合はほとんど関係ありませんが、内臓の疾患や、精神の疾患の場合は「働けるということは、障害が軽いんじゃないか?」とみなされてしまう可能性があるからです。
働きながら年金はもらえるの?という質問は非常に多いです。
詳しくはこちらの記事にまとめてあります。
4-2. 障害年金の制度を知らず、障害認定日を何年も過ぎて初めて請求できることを知りました。今までの間の分は、もう受給できないのでしょうか?
A
障害認定日に障害の程度に該当していたにもかかわらず、障害年金の制度を知らずに請求をしなかった場合、遡って5年分まで年金を請求することができます。
この請求方法を認定日請求(遡及請求)といいます。
認定日から請求日が1年以上開いている場合は、障害認定日時点の診断書と、現在の診断書を提出し、両方の状態について審査を受ける必要があります。
4-3. 相談したいのですが、どういう費用がかかりますか?
A
当センターでは相談料は無料です。
通常は、ご来所いただき、詳しいお話などを聞いて受給判断などを行いますが、その時点でかかる費用は0円です。
代行サポートを依頼していただいた場合のみ、契約書をかわしていただきます。
その時点からサポート料金が発生します。
サポート料金表はこちら記事をご参照ください。
原則として、依頼していただいた時点から事務手数料がかかります。
その後、障害年金をもらうことができたときのみ、成功報酬をいただきます。
事務手数料は先払いですが、成功報酬は年金が振り込まれた後に計算し、請求させていただきます。
したがって、経済的に苦しい、困っているという方でも安心してサポートを受けることが出来ます。
※障害年金の受給が決まると、通常は最初の振込で口座に3か月分~の年金がまとめて振り込まれます。
その中からサポート費用をお支払い頂くため、障害年金が受給できたのに、なかなかお金が入ってこない…ということにはなりません。
安心してご相談ください。