障害を持っている方が働く場合、一般就労のほかに障害者雇用という選択肢があります。
障害者雇用であれば、障害の特性に配慮を受けて働くことが出来ます。
また、障害年金を受給しながら就労したい場合も有利に働くことがあります。
(障害年金と就労についての関係はこちらの記事に、精神障害と就労についての関係はこちらの記事を参照してください。)
この記事では、障害者雇用について解説します。
1.障害者雇用とは?
障害のある人が障害のない人と全く同様に仕事をしようとしても、仕事に就きづらい、できる業務に制限があるなどの理由で不利になってしまう場合があります。
ですが、障害のある人もさまざまな能力を持っています。働く意欲を持っている人もたくさんいます。
そういう人に対して、仕事で活躍できる機会を得やすくするために設けられている制度が障害者雇用です。
障害者雇用の場合、障害がわかったうえで雇用されるため、障害の特性や体調などへの配慮を受けて働くことが出来ます。
結果的に能力を活かしながら働くことが出来ます。
その反面、求人数が少ない、給料が低めというデメリットもあります。
2.企業側も障害者雇用が必要
日本では、障害者が働く機会を平等に得られるよう、国や自治体、企業に対して障害者雇用の義務を定めています。
このルールに則り各企業には障害者求人枠が設けられています。
例えば民間企業の法定雇用率は2.3%(2022年4月現在)です。
従業員を43.5人以上雇った時点で、1人以上の障害者を雇用する義務が生じます。
2-1.障害者雇用をしなかった場合のペナルティ
行政指導などが入るほか、常用労働者が100人超の企業からはペナルティとして月5万円が徴収されます。
これを障害者雇用納付金と言います。
2-2.障害者雇用をした場合のメリット
障害者雇用を達成した場合は、障害者雇用納付金の徴収はありません。
さらに、法定の雇用率を超えて障害者雇用を行った場合、超過人数に応じて調整金や報奨金が支給されます。
また、週労働20時間未満の障害者雇用に対する給付金や、雇い入れの際に受けられる障害者トライアル雇用助成金、特定求職者雇用開発助成金といった制度もあります。
3.障害者雇用の対象となる障害者
障害者雇用の対象となるのは、原則として障害者手帳を持っている人です。
等級や労働時間に応じて、以下のように障害者雇用の人数がカウントされます。
障害の種類 | 週所定労働30時間 | 週所定労働20~30時間 |
身体障害者 | 1人 | 0.5人 |
重度身体障害者(手帳1、2級) | 2人 | 1人 |
知的障害者 | 1人 | 0.5人 |
重度知的障害者(手帳A区分) | 2人 | 1人 |
精神障害者 | 1人 | 0.5人 |
企業は、6月1日時点で雇用している障害者の数を毎年届出しています。
職場に手帳を提出することで、その雇用数に含まれることになり、特に特別な雇用契約などを結んでいなくても障害者雇用ということになります。
企業側は、障害者雇用として特別に業務を用意している場合もあれば、特に一般就労と区分していない場合もあります。
また、障害者雇用に特化した子会社(特例子会社と言います)を立ち上げている場合もあります。
4.まとめ
「障害年金はもらっているけど、障害者雇用には抵抗がある」という相談者は少なくありません。
ですが、一般就労で無理をして働き、結果的に休職や転職を繰り返す人が多いのも事実です。
障害者雇用で安定して働きながら、障害年金をもらい続けることで結果的に手取りが増えるというケースもあります。
障害者雇用の求人を自分で探すのが困難であれば、福祉サービスの一つとして就労移行支援によるサポートを受けるという手もあります。