がんについて

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私が書きました
shiroki.sr

「がんでは障害年金はもらえないって聞いたんですけど…」

というご相談が定期的にあります。

実際に、一度自分で請求して、不支給になった方の相談も良く聞きます。

一般に、がんによる障害年金の請求は難易度が高いと言われています。

この記事では、がんと障害年金について解説します。

1.がんでは障害年金をもらえない?

がんも障害年金の対象になります

ですが「がんだから」「転移しているから」「ステージⅣだから」というような理由で自動的に年金が始まるわけではありません。

各種要件のほか、認定基準を満たす必要があります。

2.がんの認定基準

がんによる認定基準は少し複雑です。

まずは年金機構が公開している認定基準を見てみましょう。

2-1.がんの認定基準

「悪性新生物による障害」の認定基準は以下のようになっています。

1級 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの
2級衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

基準には「一般状態区分表」という尺度が出てきました。

内部障害の場合、原則として「一般状態区分表」に基づいて活動能力が評価されます。

2-2.一般状態区分(どれくらい活動が出来るか)

一般状態区分表は以下のようなものです。

区分一般状態等級目安
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの (例えば、軽い家事、事務など)3級程度
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできない、日中の50%以上は起居しているもの2級~
3級程度
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの2級程度
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの1級程度

患者の状態を見て、医師が生活能力を段階評価し、診断書のア~オのいずれかをチェックします。

しかし、がん患者の場合、一般状態はあまり安定していません

「普段は歩行くらいは出来るけど、抗がん剤治療の直後はほぼ寝たきり」というように、生活に条件がつく場合があります。

一般状態はそれを含めて評価してもらう必要があります。また、がんそのものが引き起こす症状だけでなく、抗がん剤治療などの副作用も症状に含まれます

2-3.その他症状

がんによる症状は多彩です。がんによる衰弱の他、脳や肢体の機能に支障が出る場合もあります。

「足が衰弱して動かなくなった」「てんかんの発作が出るようになった」等です。

こういった障害についても審査の対象になります。

3.がんでの請求が難しい理由

がんによる請求は難しいです。

ただ、「認められにくい」というわけではありません。

認定基準があまり明確ではなく、請求方法も複雑なので、適切な方法を取るのが難しいという意味になります。

3-1.認定基準

認定基準の文言は明確です。

一般状態区分がイ~ウなら3級、ウ~エなら2級、オなら1級となっています。

そうすると、診断書の一般状態区分表を見て、「ア~オのどこに〇がつくか」によって等級が決まるように見えます。

 

 一 般 状 態 区 分 表 (令和  年   月   日)   (該当するものを選んでどれか一つを○で囲んでください。)

ア 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるのも 例えば、軽い家事、事務など
ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
エ 身のまわりのある程度のことはできるがしばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッドの周辺に限られるもの

しかし、実際は一般状態区分が「エ」相当にもかかわらず、3級と認定されたり、不支給にされる方も珍しくありません。

 

審査に当たっては、一般状態区分だけで等級を決めるのではなく、自覚症状、他覚所見、検査結果、就労状況など全て含めて判断されるからです。

ですから、生活上で出来ない事、苦しい事、困っている事を診断書に全て書いてもらい、それで審査をしてもらう必要があります。

3-2.請求方法

がんによる請求は、「がんそのものが引き起こす障害」「がんの副作用による障害」「がんが引き起こす肢体、臓器の機能障害」が対象になります。

そうすると、「どの障害で請求すればいいのか?」という判断が必要になります。

場合によっては数種類の診断書を作成、提出する場合もあります。

そうすると、ある程度認定基準に精通していなければ、適切な請求が難しくなります。

4.まとめ

この記事では、がんについてまとめました。

がんの場合、診断書も重要ですが、生活状況もかなり審査に影響します。

特に就労状況は問題になりやすく、「働いている」というだけで大幅に受給の難易度が上がります。

ですが、抗がん剤治療の合間をぬって週2日だけようやく働いているような方であれば、生活の制限は明らかです。

記録上は正社員でも「抗がん剤治療の合間にしか働けない」と言う方のサポートをしたことがありました。

職場にも聞き取り調査を行ったところ、実際には週2日ほどの稼働で、それも配慮を受けながらのものだったことから、診断書等の書類に明記してもらいました。

結果、厚生年金3級に認められた例があります。

がんによる請求は困難ですが、不可能ではありません。判断に迷われたときは、専門家にご相談ください。

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