障害年金を請求する方法は、障害認定日の時点で請求する「認定日請求(本来請求)」と、現時点で請求する「事後重症請求」の2種類があります。手続きとしては、認定日請求が出来れば認定日請求、出来なければ事後重症請求という順番になります。
1.障害認定日による請求
障害認定日が来るのを待って(あるいは、障害認定日にさかのぼって)請求する方法です。障害認定日は以下のいずれか早い日になります。
- 初診日から1年6か月が経過した日(原則)
- 症状が固定した日
原則は【初診日から1年6か月が経過した日】が認定日になります。
病気やケガによって、一時的に動けなくなったり、仕事や日常生活に支障が出ることは珍しくありませんが、ほとんどの場合は短期的な治療で完治し、後遺症も残りません。病院に通い始めて1年6か月経過してもまだ治っていない、あるいは治ったけれど後遺症が残っている、というケースで初めて障害年金が請求できるのです。
ただし、交通事故で足を切断した場合など、1年6か月を待たずに障害が確定するケースについては、特例としてその日を認定日として認めてもらえます。制度上、認められている認定日特例には以下のようなものがあります。
- 人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日
- 心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)または人工弁を装着した場合は、装着した日
- 人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術を施した日から起算して6カ月を経過した日
- 新膀胱を造設した場合は、造設した日
- 切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断した日(障害手当金の場合は、創面が治癒した日)
- 喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
- 在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日
- 人工透析をしている場合・・・人工透析開始から3ヶ月を経過した日
- 心臓ペースメーカーや人工弁を装着した場合・・・装着した日
- 脳梗塞、脳出血などによる肢体の障害の場合・・・初診日から6ヶ月以上経過し、医師が症状固定と判断した日
- 現在の医学では、根本的治療方法がない疾病であり、今後の回復は期待できず、初診日から 6 月経過した日以後において気管切開下での人工呼吸器(レスピレーター)使用、胃ろう等の恒久的な措置が行われており、日常の用を弁ずることができない状態であると認められるとき
等
なお、年金が請求できるのは20歳になってからです。もし障害認定日の時点で20歳になっていない場合は、20歳に到達した日が障害認定日とみなされます。
※「20歳に到達した日」とは、20歳の誕生日の前日になります。
さて、どのような傷病であっても、障害年金の請求が出来るのは障害認定日が来てからになります。
認定日時点の症状を診断書によって証明し、一定の障害状態にあると認められれば、認定日の翌月分から年金が支給されます。この請求方法を認定日請求(本来請求)と呼びます。
なお、認定日請求に期間制限はありません。認定日直後に請求するのはもちろん、後になって障害年金が請求できることを知った場合でも、認定日にさかのぼって請求することが出来ます。
ただし、本来の年金支給日から5年経った分の年金は時効で消えてしまいますので、さかのぼってもらえる年金は最大で5年分となります。
また、あまり時間が経ってしまうと当時の診療録が残っていなかったりするので、診断書が取得できず請求が困難になることもあります。
2.事後重症による請求
なんらかの理由で認定日請求ができない場合、現時点の症状を診断書によって証明し、一定の障害状態にあると認められれば、請求日の翌月分から年金が支給されます。この請求方法を事後重症請求と呼びます。
具体例としては以下のような人がこの請求を行います。
- 認定日の時はまだ症状が軽かったが、その後重くなった
- 認定日の時期に病院に通っていなかった
- 後になって認定日請求をしようとしたが、当時の診断書が取れなかった
認定日請求の場合、受給権は認定日の翌月までさかのぼって発生します。しかし事後重症請求の場合、受給権は請求月の翌月分から発生します。また、事後重症請求ができるのは65歳誕生日の前々日までになります。
なお、実務上は認定日請求と事後重症請求を同時に行うケースが多いです。認定日の診断書と現在の診断書を両方提出し、「もし認定日請求がうまくいかない場合は、事後重症請求に切り替えて審査してください」という請求方法で、一年以上さかのぼって請求する場合に行います。
適切な請求方法を選ばなければ、貰えるはずの年金を失ってしまうこともあります。少しでも難しい、わからないと思ったら、迷わず専門家に相談することをおすすめします。