
近年、ニュースやSNSなどで「障害年金の審査が厳しくなった」「不支給になる人が増えている」という声が増えています。
という噂を耳にし、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。これから申請を考えている方はもちろん、現在受給中で更新(再認定)を控えている方にとっても、非常に気になる動きだと思います。
実は、厚生労働省と日本年金機構は、この「不支給が増えているのではないか」という疑惑や報道を受け、令和6年度の認定状況について大規模な抽出調査を行い、その報告書を公表しました。
今回は、国が公表した公式データをもとに「今、障害年金の審査で何が起きているのか」、そして「私たちはどのように対策して申請に臨めばよいのか」を、社労士の視点から分かりやすく解説します。
目次
1.障害年金の不支給率は実際に上昇していた
厚生労働省が公表した調査報告書(令和6年度決定分の抽出調査)によると、皆さんが感じていた不安は、数字としてもはっきりと表れていました。。
新規申請の不支給率が「13.0%」に上昇
障害年金を新しく申請した人(新規裁定)のうち、不支給(非該当)となった割合は「13.0%」でした。
前年度(令和5年度)の不支給率は「8.4%」だったため、約1.5倍近く不支給の割合が増加していることになります。これは、国が業務統計を公表し始めて以来、最も高い水準です。
1-1 特に「精神障害」の審査が厳しくなった?
傷病別にみると、以下のような結果が出ています。
精神障害:不支給率 12.1% (前年度は6.4%)※約2倍に急増 内部障害:不支給率 20.6% (前年度は19.4%) 外部障害:不支給率 10.8% (前年度は10.2%)
体や内部疾患の障害に比べ、「精神障害(うつ病、双極性障害、知的障害、発達障害、統合失調症など)」の不支給率が大きく跳ね上がっているのが、今回の最大の特徴です。
1-2 更新(再認定)は現状維持
一方で、すでに受給している方の更新(再認定)については、支給停止になった割合は 1.0%(前年度は1.1%)と、ほぼ横ばいでした。「更新だからといって、むやみに全員が止められているわけではない」ということは、少し安心できる材料かもしれません。
2. なぜ不支給が増えた?国が認めた「審査の裏側」
なぜ、ここまで急に不支給が増えたのでしょうか?
報告書や、同時に行われた「認定調書(審査の記録)」の調査から、以下の2つの背景が見えてきました。
2-1. なぜ不支給が増えた? 国が認めた「審査の裏側」
なぜ、ここまで急に不支給が増えたのでしょうか?
報告書や、同時に行われた「認定調書(審査の記録)」の調査から、以下の2つの背景が見えてきました。
原因① ガイドラインの「目安」より厳しい判断が下されていた
精神障害の審査には、診断書の内容から機械的に導き出される「障害等級の目安」という共通のルールがあります。
しかし今回の調査では、不支給になったケースのうち、なんと約75%が「目安の段階では2級や3級(=支給対象)のはずなのに、結果的に不支給に落とされていた」ことが分かりました。
国は「組織的な不支給の指示はなかった」としていますが、現場の判断(職員や認定医のやり取り)において、結果的に審査がかなり厳格化していた実態が浮き彫りになりました。
原因② 不透明な「認定医の変更」が行われていた
もう一つ問題になったのが、年金機構の内部で、最初に「支給」と判断したお医者さん(認定医)の意見を、職員の判断で別のお医者さんに変更し、最終的に「不支給」に変えていたケースが一定数確認されたことです。
(※国は、これらは処理期間を守るためのスケジュール調整や、最初の記載ミスを修正するためであり、最終的な不支給の判断自体は妥当だったと説明しています)
3. これからどうなる? 「審査体制の見直し」
この結果を受け、厚生労働省は「審査の客観性と公平性を確保するため、すぐに改善を行う」と発表しました。今後は以下のような見直しが進められます。
担当する認定医をランダム(無作為)に決める(特定の厳しい医師に偏らないようにする)
別のお医者さんに変更する場合は、複数の医師で審査する
不支給にする場合の「理由」を、もっと詳しく丁寧に記載して通知する
今後は、ブラックボックス化していた審査が少しずつ透明化され、より公平な審査に戻っていくことが期待されています。
4. 今、私たちが申請・更新で「絶対にやっておくべき対策」
審査が厳しくなっている(そしてこれから透明化が進む)過渡期だからこそ、障害年金の申請で「なんとなく書類を出す」のは絶対にNGです。不支給通知を受け取らないために、以下の3つのポイントを必ず徹底してください。
① 診断書に「日常生活のリアルな困りごと」を反映してもらう
精神障害の不支給が増えている最大の理由は、「診断書の上では、本人の体調や日常生活の苦しさが、お医者さんに正しく伝わっていない(軽く書かれている)」ことにあります。
診察の短い時間だけでは、先生に「毎日どれだけ困っているか」は伝わりません。事前に自分の状態をメモにまとめ、先生に渡すなどの工夫が必要です。
例えば、 一人で買い物ができない
金銭管理ができない
家事が困難
通院に付き添いが必要
就労が継続できない
といった具体的な実態を伝えることが重要です。
② 「病歴・就労状況等申立書」をしっかり作り込む
診断書と並んで重要なのが、自分が書く「申立書」です。
診断書の整合性はもちろん、「体調が悪くて仕事が続けられない」「家族のサポートがないと生活できない」といった具体的なエピソードを、客観的に、かつ具体的に記載する必要があります。ここが薄いと、審査で「日常生活は問題なさそう」と判断されるリスクが高まります。
③ 整合性のチェックを妥協しない
「初診日の証明」「医師の診断書」「自分で書く申立書」。この3つの書類の内容に少しでも矛盾やズレがあると、年金機構の審査でストップがかかったり、不支給の材料にされたりします。
5. まとめ
障害年金は、本来であれば国から受け取るべき正当な権利です。しかし、国の審査のトレンドや内部の動きを一般の方が把握し、完璧な書類を揃えるのは非常に難しくなっています。
「自分の診断書で大丈夫だろうか…」
「更新が近いけれど、体調が良くなったと勘違いされないか不安」
そんなときは、一人で悩まずにぜひ当事務所へご相談ください。
当事務所では、最新の審査傾向を常にキャッチアップし、ご本人様の「本当のつらさ」が国に真っ直ぐ伝わるよう、書類作成を全力でサポートいたします。
もし、不支給になっても諦める必要はありません。
障害年金は、審査請求、再審査請求、額改定請求、再請求などによって結果が変わるケースがあります。
ご自身で請求して不支給となった案件が、再請求によって受給決定となった事例が数多くあります。
まずは小さなお悩みでも、お気軽にお問い合わせください。
