無汗症についての相談を年に何回か受けています。
精神疾患などの相談では、「どうやったら年金がもらえますか?」という内容の相談が多いのですが、無汗症の場合は
「無汗症で障害年金を請求したけど不支給だった」「無汗症では年金の対象にならないと言われた」
と言った内容が多いです。
他の病気に比べても、無汗症による障害年金の請求は難易度が高いと感じています。
この記事では、無汗症についての解説を行います。
1.無汗症で障害年金はもらえるか
結論から言うと、無汗症は障害年金の対象です。
実際に当センターでサポートした方で、すでに何人も年金を受給されています。
もちろん無汗症であればすべての人が年金を受給できるわけではありません。
認定基準を満たす必要があります。
2.無汗症の認定基準
無汗症の認定基準は公開されていません。
したがって、実務上重要であると思われる点をまとめておきます。
2-1.無汗部分
無汗症の場合、無汗部分がどれくらい拡大しているかが一つの基準になります。
主に温熱発汗試験と呼ばれる試験を行い、体温を上昇させ、無汗部分を測定します。
おおむね、75%以上かどうかが重症度の基準になるようです。
2-2.熱中症
無汗症の問題は「体温調節が出来ない」という点です。
その度合いを測る上で、「熱中症の症状が(容易に)起きるか」が一つの基準になります。
「熱中症の症状が起きてしまうため、体温上昇(環境、運動)を避ける必要がある」という点が日常生活の支障につながるからです。
2-3.生活状況
実際の生活状況も審査をする上で重要になります。
一般的に、内部障害の障害状態は「一般状態区分」という、5段階の基準に基づいて判定されます。
区分 | 一般状態 | 等級目安 |
---|---|---|
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの | |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの (例えば、軽い家事、事務など) | 3級程度 |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの | 2級~ 3級程度 |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの | 2級程度 |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの | 1級程度 |
ただ、無汗症は単純に「できる」「できない」という能力の問題ではありません。
「夏は寝たきりで全く動けない」「室内でしか動けず外出できない」など、生活についた条件も重要です。
他にも「移動はスムーズにできるか」「洗面や着替えに支障はないか」「痛みや不快感はあるか」等の細かい点も審査の対象になるようです。
3.無汗症で請求する場合のポイント
ポイントは「診断書」です。
障害年金は書類審査ですから、実際の生活状況を見に来てくれるわけではありません。
ですから、全身すべて無汗部分で、少し動いただけでも熱中症の症状が出るという状態でも、書類に書いてなければ審査の材料にはなりえません。
しかし、「無汗症用の診断書」というのはありません。
ですから、「その他疾患の診断書」に必要な情報(無汗部分の割合など)をしっかり書いてもらう必要があります。
4.まとめ
上にも書いた通り、無汗症の基準は明文化されていません。
この記事の内容はあくまで実務の上で得た情報になります。
ですから絶対的なものではありませんが、一つの情報として活かしていただければ幸いです。
また、今現在請求を考えられていて、やはり難しそうだと感じた方は、遠慮なく無料相談をご利用ください。