「指の障害」をコラムに追加しました

 

世間一般では、「手や足を切断したり、動かなくなった場合は障害年金の対象になる」というイメージが強いようです。

しかし、指の場合は該当しないと思っている人も多いのではないでしょうか。

実は指の障害でも障害年金の対象になる場合があります

等級ごとに詳しく解説していきたいと思います。

1.指の障害で1級に該当する場合

1級の基準はシンプルで、両手の10指が全て使えなくなった場合1級になります

では、「全て使えなくなる」とはどういう状況でしょうか。

具体的には、以下のいずれかに該当した場合です。

・両手の指をすべて欠くもの

・両手の指の用を全く廃したもの

欠くもの」とは、指が基部から無くなって有効長が0のものを意味します

全く廃したもの」とは、指がないのと同じくらいの機能障害を意味します

つまり、両手の指が全て根元から切断されたか、それに等しいレベルの機能障害であれば1級になります。

ただ、この「全く廃したもの」の定義はやや曖昧です。

認定要領にも「指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害」としか説明されていません。

肢体用の診断書も指の動きに特化したものではないため、請求にあたっては診断書等に機能障害の内容を強調してもらう必要があります。

具体的には「麻痺による高度の脱力があり両上肢の10指がすべて不動で、日常生活に全く使用できない」と明記してもらう等です。

2.指の障害で2級に該当する場合

手の指の障害以外にも、足の指の障害でも該当する可能性があります。

分けて解説をしていきます。

2-1.手指障害で2級に該当するケース

手指の障害は、「片手の5指が全て使えなくなった場合」と、「両手の親指+人差し指または中指が使えなくなった場合」に2級になります

具体的には以下のいずれかに該当したものです。

・片手の指を全て欠くもの

・両手の親指 + 両手の人差し指か中指を欠くもの

・片手の指の用を全く廃したもの

・両手の親指 + 両手の人差し指か中指の用を全く廃したもの

定義は1級の場合と同様で、「欠くもの」というのは根元から欠く場合「全く廃したもの」は指があってもないのと同等の機能障害を意味します。

両手の親指と人差し指(中指)の用を全く廃したもの」だけは基準が別に用意されていて、親指と人差し指(または中指)が全く使えないため、同士を対立させて物をつまむことが出来ない程度の機能障害」という定義がされています。

ただし、診断書で左右の「つまむ」が×になっていても、原因が指の機能障害でなければ審査の対象になりません。

ですから、物をつまめない原因が両手指の機能障害にあることを診断書に明記してもらう必要があります。

2-2.足指障害で2級に該当するケース

足指の障害は、両足の10指をすべて欠くもの2級になります。

なお、「足指の用を全く廃したもの」という認定基準はありませんので、機能障害では2級になりません

3.指の障害で3級に該当する場合

3級以下の基準では、「指を欠くもの」や「用を全く廃したもの」まで行かなくても請求が出来る場合があります。

具体的には「失ったもの」と、それよりもやや軽い「用を廃したもの」という基準が出てきます。

続けて解説をしていきます。

3-1.手指障害で3級に該当するケース

以下のいずれかに該当したものが3級です。

・片手の親指+人差し指を失ったもの

・片手の3指を失ったもの(親指または人差し指を含む)

・片手の4指の用を廃したもの(親指と人差し指を含む)

失ったもの」というのは、指を近位指節間関節(第二関節)以上で欠くものを言います

なお、親指には指節間関節が一つしかありませんので、指節間関節(第一関節)以上で欠くものが該当します。

「指の用を廃したもの」は、欠損による障害と、機能障害の両方があります。

欠損障害は、の末節骨(第一関節の先にある骨)を半分以上失ったものが該当します。

機能障害は、中手指節関節(指の付け根の関節)、又は近位指節間関節(第二関節・親指の場合は第一関節)可動域が1/2以下に制限されたものが該当します

つまり、指先の骨を半分失ったか、または指の関節(付け根の関節か、付け根に近いほうの関節)が半分しか曲がらなくなった場合に「指の用を廃したもの」に該当します。

3-2.足指障害で3級に該当するケース

両足の10指の用を廃したもの3級になります。

「足指の用を廃したもの」は、欠損による障害と、機能障害があります。

欠損障害は、足の親指の末節骨を半分以上失い、その他の指の遠位指節間関節(第一関節)を失ったものが該当します

機能障害は、中足趾節関節(指の付け根の関節)、又は近位指節間関節(第二関節・親指の場合は第一関節)の動きが1/2以下に制限されたものが該当します

4.指の障害で障害手当金に該当する場合

障害手当金に該当するケースは8種類です。切断の場合は創面(傷口)が治癒した時点から請求が可能になります。

4-1.手指障害で障害手当金に該当するケース

・親指の「用を廃したもの」

・人差し指を「失ったもの」

・2指を「失ったもの」

・人差し指を含む2指の「用を廃したもの」

・片手3指の「用を廃したもの」

4-2.足指障害で障害手当金に該当するケース

・親指を「失ったもの」

・親指以外の4指を「失ったもの」

・片足5指の「用を廃したもの」

5.欠損障害で請求できるタイミング

原則的には初診日から1年6ヵ月経過した日が認定日ですが、1年6ヵ月経過する前に切断した場合には切断日=認定日となります

例えば事故で指を切断した場合、わざわざ1年6か月待たなくても年金が請求できます。(認定日の特例を使います)

また、初診日から1年半以内に切断した場合には、切断後に年数が経ってから障害年金を請求する場合でも、切断日時点にさかのぼって請求することが出来ます。

ただし、初診日から1年6か月経過した後の切断(例えば、糖尿病で3年通院した後、壊疽により指を切断したようなケースなど)は、遡って請求することができません。

その場合は、切断した日からの請求となり、請求した翌月分からしか年金はもらえません。

6.まとめ

指の障害は、用語が多く、認定基準を読み下すのがなかなか困難です。

例えば同じ指切断でも、指先なら「用を廃したもの」、第二関節なら「失ったもの」、根本なら「欠くもの」となり、それぞれ扱いが変わります。

関節が1/2に制限されれば「用を廃したもの」、機能障害によって指が全く使えなければ「用を全く廃したもの」となります。

以下は早見表です。

×は「欠くもの」または「用を全く廃したもの」、△×は「失ったもの」、△は「用を廃したもの」を意味します

障害年金等級手指足指
1級両手10指 ×
2級片手5指 ×
両手親指+人差し指または中指 × 
両足10指 ×(欠損のみ)
3級片手親指+人差し指 △×
片手親指または人差し指を含む3指 △×
片手親指と人差し指を含む4指 
両足10指 
障害手当金片手2指 △×
人差し指 △×
親指 
片手3指または人差し指を含む2指 
片足親指又は他4指 △×
片足5指 
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