重い障害を負っている人の中には、亡くなってしまう人もいます。
以前、こういう相談がありました。
「病気療養中だった夫が40歳で亡くなりました。今から障害年金を請求できますか?」
亡くなった後でも障害年金の請求が出来るのでしょうか。実は、出来る場合があります。
1.死亡後に行う障害年金の「認定日請求」
障害年金の請求方法は、認定日にさかのぼって行う認定日請求と、現在の障害状態で行う事後重症請求があります。
このうち、事後重症請求は「現在」亡くなっているため、できません。
しかし認定日請求には「こうなったらできなくなる」という条件や期限がありません。
したがって、死亡した後でも可能ということになります。
もちろん認められるためには、納付要件や加入要件を満たし、認定日時点の障害状態が等級に認められることが必要になります。
2.死亡後の障害年金が認められた場合のメリット
では、亡くなった方の障害年金が認められた場合、どういうメリットがあるのでしょうか。
具体的には以下の二つになります。
2-1.死亡月までの年金が受給できる
障害認定日までさかのぼって障害年金が支給されます。(5年の時効がありますので、支給されるのは最大で約5年分になります)
未支給年金として遺族が直接請求することが出来ます。
2-2.遺族厚生年金の受給権を取得できる場合がある
遺族厚生年金の受給要件に、「障害等級1級または2級の障害厚生年金受給権者の死亡」という条件があります。
他の遺族厚生年金の受給要件を満たさずに亡くなってしまった場合でも、さかのぼって障害年金(2級以上の障害厚生年金に限ります)の受給権が認められることで、遺族厚生年金も受給できることになります。
実際に、過去に障害厚生年金がさかのぼって認められたことで、遺族厚生年金を受給出来た事例がありました。
3.まとめ
実際に家族が病気で療養中の時は、日々の生活が大変なあまり、障害年金の請求など考える余裕もないという方が少なくありません。
しかし、そのために障害年金を受給できない、場合によっては遺族厚生年金すらもらえないということになると、不利益は小さくありません。
亡くなった後でも障害年金は請求できるというのは不思議に思えるかもしれませんが、制度で認められている話です。
可能であれば請求することをお勧めします。