「障害年金の審査はどのように行われるのか?」
よく聞かれる質問です。
この記事では、よくある質問に答える形で、審査の方法を解説します。
1.障害年金の審査に地域差はありますか?
現在は審査における地域差はありません。
かつては地域差が問題になったことがありました。
少し前までは、障害厚生年金の審査は東京で、障害基礎年金の審査は都道府県ごとの事務センターで行われていました。
そのため、「あの県は障害年金通りやすい」「あの県は最近厳しい」と言う話が当然のように語られてきました。
実際に「同じ障害であるにも関わらず、地域によって等級の判定が違う」ということが問題になっていました。
こういった声を受け、実際に厚労省が調査をしたところ、不支給割合の高い県(大分県)は24.4%、低い県(栃木県)は4%と、最大で6倍の地域差がありました。
その結果を受け、平成29年4月からは、全ての障害年金の審査が東京にある日本年金機構障害年金センターで行われることに決まりました。
ですから、現在は請求した地域による差はありません。
2.審査はどういう風に行われますか?
まずは形式面の審査が行われます。
「初診日の証明が出来ているか」「納付要件はクリアしているか」など、障害年金の要件を満たしているかを審査します。
満たしていなければ「却下」ということになります。
返戻による補正の指示が来ることもありますが、もし却下となれば「却下決定通知書」が届きます。
形式的な要件を満たしていた場合は、障害の状態が認定基準に該当しているか、等級について審査がされます。
審査の平均は3か月と言われていますが、3か月が経過すると「審査遅延のお知らせ」という通知が届きます。
場合によっては審査に半年かかることもありますが、受給が決まると審査にかかった数か月分の年金もまとめて支給されますので、受給できる年金額が減るということはありません。
受給が決まれば、「年金証書」「年金決定通知書」が自宅に届きます。
不支給になった場合は、「不支給決定通知書」が届きます。
また、不足書類や追加資料を求められることもあります。その場合はいったん書類が返戻されます。
3.審査は誰が行っていますか?
認定審査は「認定医」と呼ばれる医師が行っています。
認定医の名称は公表されていませんので、専門分野や経験などは一切不明です。
基本的には認定医が単独で審査を行っています。
ただし「認定医の医学的な総合判断を特に要する事例は、他の認定医の意見も聞いて判断する」という通達が出されており、複数で審査することもあるようです。
審査の際には認定調書と呼ばれる書類が作られ、そこに等級を決定した理由などが記載されます。
<法定調書> ※クリックで拡大 (個人情報は黒塗りにしてあります)
内部的な書類ですが、開示請求をすることで中を確認することが出来ます。
審査請求の際には、この認定理由を確認する必要があるため、開示請求をすることが多いです。
4.まとめ
障害年金の審査については不明な点も多いですが、わかる範囲で記載しました。
認定調書を見ると、丁寧な理由が記載されていることもあれば、思わず首をかしげたくなるような理由もあります。
おかしいなと思いながら審査請求すると、あっさり処分変更になったりすることもあります。
障害年金の等級審査と言うと、物凄く厳密な審査というイメージがありますが、認定医も人間ですから、ミスもあるんだという事だと思います。
もし、下された処分に納得いかないというときは審査請求という手段がある、という点は覚えておいてください。